北海道上川郡東川町 & 上川町・大雪山国立公園
旭岳2290m・黒岳1984m
Jun 26. 2007

姿見平と旭岳2290m・100名山

 旭岳は、 広大な大雪山国立公園(琵琶湖の約3.4倍)の北端域の 『表大雪エリア』の一座で北海道の最高峰である。

一行9名(やまびこ会有志8名とゲスト1名)は、 『旭岳温泉』を登山基地(3泊)と定め、最初に最高峰を征服し、 その勢いで表大雪のメインルートである間宮岳・中岳・北鎮岳を縦走し黒岳を経てから層雲峡経由でその日のうちに 旭川温泉へ戻り、翌日は希望者で大雪西端の十勝連峰の主峰”十勝岳”を征服するという壮大?な計画に挑戦します。

 この計画は、表大雪を縦走したいという隊員の思いを実現するための半年かけてのプランです。 はじめての遠征隊員もいます。出発前の足慣らし、全員参加を強要したMeetingでは、隊長以下全員の役割分担を再確認しました。それは、出発日が悪天候なら延期し、縦走途中に天候が急変しても慌てず冷静に行動し、撤退も、前進も可能とする安全最優先の添乗員の思いです。

 それでは、旭岳温泉4時起床、21時生還の長旅から報告します(十勝岳は次ページ)。

写真説明、 朝日に浮かぶ旭岳です。左端の建物はロープウエイ姿見駅、その周辺を姿見平、中央の地獄谷噴気を左に見て 右上へ続く尾根を登りきり、こんもりしたピークが山頂 ・・・ 旭川温泉のホテル前にて、6月28日 6:40撮影



マップ&タイム(マップはクリックで拡大)

@姿見駅 6:20発/海抜1600m
A旭岳6合目 7:20着
B1930mケルン 7:36着
C旭岳8合目 7:57着
D旭岳9合目 8:24着
E旭岳山頂 8:41着・写真撮影・8:55発/海抜2290m
F間宮岳 9:57着/海抜2185m
G中岳分岐 10:23着
G中岳 10:47着/海抜2113m
H北鎮岳分岐 11:03着
I北鎮岳 11:27着・写真撮影・11:40発
J北鎮岳分岐 11:55着・昼食・12:30発
K御鉢平展望台 13:00着
L黒岳石室 13:50着・14:05発
M黒岳山頂 14:29着・写真撮影・14:40発/海抜1980m
N7合目リフト駅 15:47着(徒歩の予定をリフトに変更)
O5合目黒岳ロープウエイ 16:14着/海抜約1550m

P層雲峡ロープウエイ駅 16:27&37着

・総所要時間10時間17分(目標10時間30分)
・歩行距離 12Km



←姿見の朝
屋久島登山で寝坊した添乗員も、この日は4時起床、窓を開ける。予報は晴れでも天候が気になる。

白雲荘→
隊長の指揮下で準備体操、ロープウエイ一番乗りを目指し、5:20白雲荘を出発


←姿見気象情報
姿見の気象情報を確認し、最前列に並び一番(6:00)のゴンドラに搭乗

姿見6時10分→
北の大地の日の出は早い、しかし、姿見の日の出は6時頃、逆光で写真撮影は至難、



←出陣記念
姿見駅展望所にて、

姿見出発6時20分→
強烈な朝日を浴びて出発しました。出発してまもなく、隊長が登山届の提出を忘れたという。 届出が無いと救難保険が支払われないという。 添乗員慌てて駅の届出ポストへ、




←姿見の池
姿見の散策路を左から侵入し観光スポットで慌ただしく写真撮影、 後方は地獄谷の噴気(水蒸気で、日が当たると白く見える)

入山ポスト→
登山道入り口に入林届と書いたポストです。登山者が姿見観光に気を取られ、提出忘れへの配慮と思われます。 ここから上は林などありませんが何故か入林届けという。



←キバナシャクナゲ
ちょうど最盛期と思われありこちで一行を歓迎しました。 時間があれば こんな写真も撮れたかも、

地獄谷→
一帯は活火山で、噴気活動旺盛です。何時爆発するかも知れません。 ヘルメットの準備までは気が付きません。




←1930mケルン・7:36休憩
一気に300m程高度を稼ぐ。眼下の姿見駅も霞み、中間地点です。

トムラウシ山(右手)→
表大雪の奥座敷と言われるトムラウシ山を眺め高度を上げる。 隊員の1人があえぎはじめ時々足を止める、隊長頑張れ、頑張れ、



←青い空・迫る山頂
誤ルート防止ロープは姿見から6合目まで、途中は無くなり、山頂近くで再びロープあり

旭岳登頂記念→
8:41予定より24分早く全員無事に征服しました。 山頂は溶岩台地のテッペンで、北海道のテッペンです。 この日の視界は360度、トムラウシ山・明日挑戦する十勝連峰・御鉢平を囲む山々がのびやかに展開してしました。
This is a Great View and we have a Wonderful Time, However, it was short time. I thought.



←山頂風景・北鎮岳
北北東に北鎮の峰が尖って見えます。眼下は、旭岳北斜面の大雪渓が待ち構えています。

大展望満喫?→
束の間のの楽園です。許容時間は14分、写真撮影、地図チェック、時間記録と水分補給と慌ただしい、




←選点100年記念プレート
ここは、一等三角点で1900年(明治33年)に選点され、その100周年記念のプレートで、 火山地帯の地殻変動調査に重要、

裏旭大雪渓へ→
大雪渓はかなり急な勾配ですが、アイゼンを装着せず、登山靴のかかとをめり込ませながら慎重に下りました。




←大雪渓記念
中ほどで三脚を取り出します。写真は狭いようですが実際は広大です。 雪渓の入り口の小さな点は、東川町消防隊員が滑降で下りる様子です。 (小さすぎて分りませんのでアップ) 彼らは、お尻にシートを当て一気に下りてきました。しかし、お尻はずぶ濡れになっていました。

キバナシャクナゲ→
結構厳しい環境でもOKのようです。




←裏旭の残雪
この辺りが裏旭キャンプ場?遭難事例で、同時期に悪天候でへばり、ここを登りきれず、翌朝救出されたという。

間宮岳・北海岳分岐→
9:57予定より33分早く到着です。休憩、




←間宮岳標識・2185m
前方に北鎮岳、その右が凌雲岳2125m?

北鎮岳を目指す→
手前のピークは中岳、その向こうの北鎮分岐まで50分の予定です。




←雪原?
この地下層は永久凍土かも知れません。僅かな地表の花園です。

イワウメ→
左の雪原をアップ、溶岩台地にしっかり根を張った”イワウメ”でした。 花名知らせていただきありがとう。




←中岳手前
この少し手前(戻る)が中岳分岐、東川町消防隊員は、ここまでが管轄といい、左折して旭川温泉へ引き返した。

中岳標識2113m・10:47着→
この辺りは、標高差が少ない稜線歩きで快適であった。




←侵食作用→
厳しい風雪を実感しました。




←北鎮岳分岐・11:03着
隊長の休憩時間は僅少で、予定より57分早く到着しました。 ここで、一名が残留休憩、残り8名での北鎮岳高速ピストン登山となりました。

北鎮岳登頂記念→
分岐から登り20分・下り15分で印刷通り。山頂滞在時間13分、白雲たなびくも快晴なり、 その間に、無事登頂を知らせようとあちこち電話するも何故かつながらず。 携帯のアンテナは確かに3本立っていた、白雲荘の支配人は、携帯は裏旭辺りまでで、 引き返す時は早めに電話してくれと言っていた。



←烏帽子岳・2072m
私は、この山を大雪の槍ヶ岳と命名し楽しんだ。 この山の左側に黒岳が見えていたがガスが出始めた。 手前が、北鎮東側大雪渓、層雲峡側からの登山者がとぼとぼと登ってきた。我々は踏み後を見つけてトラバースしようとしたが、何故か見当たらない。前日、旭岳ビジターセンターの彼女に雪渓の踏み後は分るかと尋ねたらこの時期は解けるので分らないとの説明が理解できた。

昼食→
11:55から35分間の休憩と昼食です。右手は、超雄大な御鉢平、地図を見るとその中ほどに『有毒温泉』立ち入り禁止とある。 御鉢平へ紛れ込んだらやばいかも、



←大雪渓トラバース
ジグザグにトラバースして縦走路に上がる。今回も、かなりの急勾配でへっぴり腰の隊員もいたが、 アイゼンを付けずに進んだ、アイゼンは装着した方が安全で歩きやすいのだが着脱時間を考えると出来ないようだ。

雲の平・溶岩台地→
雪解けを待って沢山の花々が咲き始めていました。地図にはチングルマ・キバナシャクナゲの群生とある。




←御鉢平
最大級のカルデラと思われた、雄大なり、この水は赤石川となり、層雲峡を流れ、石狩川へ注ぐ、

御鉢平の展望台→
皆さんの頑張りで、時間にも余裕が出来、ホット一息の添乗員




←北鎮岳を背に→
ルンルンで黒岳石室を目指す一行




←キタキツネ
行く手にキタキツネ親子、子キツネは一行を恐れてブッシュに隠れた。

黒岳へ0.9Km→
その前に黒岳石室で休憩します。全員やれやれ




←黒岳石室
管理人の牧 国雄さんが一行を出迎え、じっと観察しています。 好奇心旺盛な女性隊員は、この中の寝室、少し向こうのバイオトイレの見学に余念がありません。
私は、層雲峡から登ってきたという若い女性登山家の隣に座り休息した。 上川町から1人で来た彼女は、今日はここで泊まり明日、御鉢平を一周するという。 彼女の登山靴とスパッツは泥にまみれていた。私は、ここで初めてスパッツを付けた。(泥まみれの謎は、下山後理解できた)

ガス発生→
黒岳の登りはガスの中を進みました。



←黒岳山頂?
一時それらしい峰を確認したが、その後は何も見えず。

黒岳登頂記念→
14:29着、予定は15:00。尾張旭市から来たという男性に写真を頼み、14:40早々にガスの中を下山、 この写真はパソコンで明るくした。実際はガスの中でほとんど見えず。

山頂には、小さな監視小屋、中を覗くと四方に小さな覗き窓、壁にはトランシーバーが何個も掛けてあった。 お花畑の自然保護の監視用?外に監視要員と思われる青年が2人、話しかける時間もなし、



←黒岳の下り
この下りは標高差約500m、厳しいものとなった。視界の悪い中での急坂の残雪、ぬかるみ、足を取られての転倒が出始めた。
中程で、ツアーの団体登山隊に遭遇、彼らはお粗末な装備であった。足場の悪さに撤退し始めた模様です。 ガイドが、我々を通過させよと指示したが、近くの人しか聞こえない、彼らも慌て下山し始めたため、やまびこ隊も分断され、渋滞となり遅れ始めた。ルンルンが悲壮感に急変していった。

7合目リフト駅→
15:47着、黒岳からの予定所要時間50分が67分となり、貯金時間が減り始めた。我々は、ロープウエイ駅まで徒歩で下る予定であったが、ここで、3名がリフトで下りたいといい、他は歩くことになっていたので添乗員は係員に下り口を聞いた。 係りは、降り口の急階段前で、視界が悪い、残雪がある、リフトの下は歩くななどいろいろ難しいことをいう。 結局全員リフトで降りることとなった。



←5合目リフト駅
添乗員は、隊長を最後に全員リフトで降りたことを確認、この時先発隊は駆け足でロープウエイ駅へ、 かくして、慌ただしい下山となった。

層雲峡駅→
層雲峡駅へは、16:27と16:37着のゴンドラで全員無事に到着しました。予定の30分前であった。

一行は、十分な休憩の後、17:30発の道北バスで旭川へ、繁華街でこってりラーメンを食べ、タクシー3台に分乗し旭川温泉へ直行した。21:00の生還であった。白雲荘の支配人がドアを開け、時間通りのお帰りですねとニッコリ出迎えた。 皆さん、お疲れさん、

《大雪山縦走・添乗員反省》
 出発から黒岳までは、隊長を先頭に、不安の無い計画通りの登山であった。終盤の黒岳下りは予想外の事態で、 隊列は乱れあわただしい下山となった。怪我はなくて良かったものの、安全登山を目指した添乗員としては反省しなければならない。

 黒岳山頂までは計画以上に順調であった。全体員は、後はルンルンで下りロープウエーに乗ることをイメージしていたと思います。 添乗員も早い下山が始まったという意識はあったが、出発時にその隊列の先頭が誰で、隊長が何処にいたかの意識も記憶もありません。 慌て出した事態を観察していましたが、隊長が先頭であったとも思えません。

 どういう状態であれば問題はなかったか?
旅行社の登山ツアーを参考にします。彼らは、現地ガイドが必ず先頭をキープします。添乗員は、最後尾で、 遅れた参加者がいてもその後をのらりくらりとついてい行きます。我々も、全員で役割を定め入山しましたが、 あまりにも順調であったためにその役割は薄らいでいったと思います。 私は、添乗員であるという意識は最後まで持っていましたが、写真撮影もあり、 最後尾をキープするつもりもありませんでした。しかし、常時、隊長が先頭での基本的隊列を維持し、隊員は隊長の指示に従うように仕向ける義務があったと思います。楽しいグループ登山をキープするための添乗員の反省です。

 彼女の登山靴とスパッツは何故泥まみれであったか?
下山後の写真でも分るように、我々は、残雪のぬかるみに足をとられましたが泥まみれになりませんでした。 7合目リフトの係員が何故徒歩下山を進めなかったか? そこは、雪解けの泥んこの険しい登山路であったと思われます。 添乗員の登山計画で、残雪期の黒岳下りの事前調査に抜かりがありました。 7合目から5合目間は、スキー場で、ゲレンデをルンルンで歩くと勝手に思っていました。 実際は険しい登山路と思われる。(登山地図の、徒歩下り20分・登り40分/夏季無雪期・リフト15分の理解不足、)

 遠征登山の時間の有効利用について
縦走後の夕食をどうするか?悩ましい問題であった。登山計画は、下山時間が遅くなれば、層雲峡でコンビニ弁当を買ってバスの中でとる予定であった。本心は、層雲峡で早めの夕食をとりバスに乗りたかった、 しかし、縦走は大成功と判断した添乗員は、縦走記念で旭川で美味しいジンギスカンでも食べようと提案した。 反対意見はなかったが、バスが旭川に近づくと、明日の登山があるから早く帰ろうと言い出した。 遅れなくても、コンビニ弁当で車中の夕食がベターであった。



《大雪山アクセス情報》

訪問の記念に、下記Siteのテェックをお勧めします。

@大雪山国立公園
A旭岳ロープウエイ
B旭岳Web View(ライブカメラ)
C旭川温泉、白雲荘
D層雲峡ビジターセンター
E層雲峡・黒岳ロープウエイ




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